ネットや、お店、あるいは美容室で「ケラチン配合」のシャンプーやトリートメントを見たことはありませんか?
ケラチンは毛髪をはじめ、皮膚、爪の美しさを維持するために必要不可欠なタンパク質です。
「なんとなくは聞いたことはあるけれど、詳しくはよくわからない…。」
「ケラチンが不足したらどうなるの?」
「髪の悩みはケラチンで解決できるできるの?」
そのような疑問をお持ちのあなたへ。この記事ではケラチンについて毛髪診断士がわかりやすく解説します。
ケラチン生成を助ける食材もご紹介しますので、ぜひ目を通してみてくださいね。
10点以上のヘアケア&美容アイテムのプロデュース経験も。
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ケラチンとは?どうやって髪の毛はつくられているの?
ケラチンとは、わたしたちの髪、爪、皮膚の表面をつくる硬い繊維性のタンパク質です。特に髪の毛はケラチンが大部分を占めており、残りは水分、資質、メラニン色素で構成されています。
そして、そのケラチンをつくっているタンパク質は18種類のアミノ酸が結合したものです。
そのアミノ酸が結合したものがポリペプチドという化合物で、シスチンを多く含んでいます。
髪の毛を作っている18種類のアミノ酸
シスチン | アスパラギン酸 | イソロイシン |
グルタミン酸 | プロリン | チロシン |
ロイシン | グリシン | リジン |
アルギニン | バリン | ヒスチジン |
セリン | アラニン | メチオニン |
スレオニン | フェニルアラニン | トリプトファン |
ケラチンのシスチンによって毛は硬く丈夫になる
髪の毛には1種のアミノ酸「シスチン」だけで全体の14〜18%を占めており、その他爪や皮膚にはシスチンは3%しか含まれておりません。
毛髪はこのシスチンが多く含まれていることにより、弾力があり硬く、丈夫になります。
一般的に細い毛は柔らかく、太い毛は硬い毛にになります。毛の硬さは髪の表面キューティクルの厚さに比例し、内部のケラチン繊維(フィブリル)によって決まります。
ケラチンが不足すると髪はどうなるの?
勘違いしている人が多いのですが、ケラチンは体内から供給されるものではなく、アミノ酸によって体内で合成されるもの。ですから、一度伸びた部分の髪の毛は自力で再生できません。
「ケラチンが不足する」ということはヘアダメージによって髪の毛から「ケラチンが流出する」ということです。
ではケラチンが流出してしまうとどうなるのでしょうか?
具体的な症状をみていきましょう。
髪が痩せ細り、ハリコシが無くなる
一度流出してしまったケラチンは自己再生できません。
よって髪は痩せてスカスカになり、内部に空洞ができるためハリ、コシがなくなります。
ここでいう内部は「コルテックス」のこと。コルテックスはケラチン繊維が束になっており、毛髪の85〜90%を占めています。
ダメージにより、穴が空いてしまうと弾力がなくなり、スポンジのような状態に。
悪化すると繊維がちぎれ枝毛、切れ毛が発生することも。
艶がなくなり、色が抜ける
ケラチンが流出して不足すると、髪の毛は艶がなくなります。一緒に色素も抜けるため、黒髪の人は茶色に、カラーをしているひとはさらに明るい色になります。
遠目から見ても髪の艶がないことがわかり、まだら色に見えることも。美しい毛髪を維持するためにはハリコシ、艶は重要な要素であり、それらが失われることは精神的にも辛いものです。
鏡に映る髪を見て、「ボリュームが出なくて元気がなく見える」「くすんで老けて見える」と感じることもあるでしょう。
キューティクルが整っている状態であれば、凸凹もなく、光を一定に反射し、いわゆる「天使の輪」ができます。一方キューティクルが乱れていれば、表面が凸凹し、光も乱反射するため、チリついて見えます。
うねり、広がりが発生する
髪が傷むとうねりが出たり、広がったりする経験はありませんか?
乾いて硬くなったスポンジを水につけたときと原理は一緒。
水分を吸収して柔らかくなると同時に大きく膨らみますよね。同じように、わたしたちの髪の毛一緒で、水分を吸収すると
- 長さが1〜2%ほど伸びる
- 太さが15%ほど太くなる
- 重さが30%ほど増える
といったことが起きます。
キューティクルがダメージを受けた部分から水(汗)が入り込みます。
とくに髪の毛表面にあるキューティクルは水を弾く「疎水性」ですが、それが剥がれ落ちていたり開いていると湿気から毛髪を守るものがなくなります。
さらに、内部のコルテックスはダメージによりタンパク質が流出して空洞化してスカスカな状態となっていますから、その空洞部分にどんどん水分が入り込むことで髪の毛は膨張してしまうのです。
髪の毛のキューティクルの内側には細かいケラチン繊維がたくさんあります。そして、その繊維は互いに結合して網目状になっています。
吸収された水(汗)は、その網目の中に入り込み、髪の中から押し広げます。一方、髪の中にある水に強い組織(側鎖結合)は縮もうとします。
水で髪の毛が膨らむ力と、結合で髪の毛が縮もうとする力が釣り合った状態に至ると膨張が止まります。これを膨潤平衡と呼びます。
ダメージを受けた髪は内部タンパク質が流出したり繊維が損傷したりしているため、側鎖結合が減少しており、その分だけ水分によって横に広がりやすくなります。
ギシギシ、パサパサ指通りが悪くなる
ケラチンが失われると、指通りもが悪くなります。
とくに傷みやすい毛先を中心に、ギシギシ、パサパサ感がでてきて、手櫛を通しても引っかかったり、絡まったりするでしょう。
内部に水分を安定して保有できない状態に陥っているケラチン不足の髪は摩擦も大きいため、普段のシャンプー、ドライヤー、ヘアアイロンの摩擦を受けないように心がける必要があります。
髪の毛のケラチンはサプリや食べ物で補えるの?
ケラチンそのものを食べ物で補うことはできません。なぜなら、ケラチンそのものはアミノ酸の集合体であり、ケラチン自体が栄養素ではないからです。
ケラチンの生成するためには、ケラチンを合成するために必要なアミノ酸「シスチン」を多く含む食品を積極的に取り入れるとことが有効です。
それでは具体的にシスチンが多く含まれた食材をみてみましょう。
ケラチンを作る「シスチン」が多く含まれた食材
ケラチンを体内で合成するために必要なシスチンを多く含む食品を紹介します。
シスチンを多く含む食材の例
- 肉類:牛肉、豚肉、羊肉
- 乳製品:牛乳、チーズ
- 魚類:イワシ、アジ、さけ、マグロ
- 豆類:大豆製品
シスチンは美肌効果もある
シスチン(L-シスチン)は髪の毛のみならず、美肌効果も期待できるアミノ酸です。例えばメラニンの生成によって肌にシミができた場合、ターンオーバーを促進したり、メラニンを作るチロシナーゼの活性を抑制したりします。
総合的な美容の観点から、ぜひシスチンが含まれた食品を食事に取り入れましょう。
わかめを食べても髪はつくられない
古い迷信で「わかめを食べると髪が伸びる」ということを聞いたことがあるかと思いますが、タンパク質が少ないわかめだけを食べても直接的に髪の毛をつくるケラチンの素にはなりません。
髪を補修するケラチン配合のトリートメントについて
ヘアダメージによって損傷した毛髪の表面(キューティクル)および内部(コルテックス)を補修するためにはヘアトリートメントの使用が有効的です。
なぜなら食べ物でシスチンの多い食べ物を摂取したとしても、すでに生えている(伸びている)毛髪部分には栄養は届かないからです。
そのような理由から、ケラチン不足の場合にはケラチンが配合された、シャンプー、トリートメント、ヘアオイルを使用することで、表面からケラチンタンパク質を吸着させて毛髪を補修することが大切です。
ヘアケア製品の成分表記には髪の毛に浸透しやすいように、分子量を小さくした「加水分解ケラチン」が配合されています。
購入前にその製品の成分表記を確認しておくと良いでしょう。
ケラチンが配合されたヘアケア製品のメリット、デメリット
ケラチン配合のシャンプーやトリートメントを使ってみたいけれど「デメリットも知りたい」という方へ。
ケラチン配合製品のメリット&デメリットをまとめましたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ケラチン配合のヘアケア製品メリット&デメリット
【メリット】
- 髪にハリとコシがでる
- 指通りがなめらかになる
- 湿気による髪のうねりを緩和できる
- 髪の摩擦ダメージを予防できる
【デメリット】
- 髪が硬くなったと感じることがある
- 匂いが独特
- お値段が高め
9,800円(税込)〜
5,800円 (税込)
ケラチンは髪にとって必要な成分、不足しないように心がけて
ケラチンは美しく健康的な髪の毛を維持するために必要な成分です。
ケラチンが不足(ダメージにより流出)した髪は、痩せ細り、ハリコシ、艶がなくなり、うねりが発生します。
そしてケラチンはそのまま食べ物やサプリメントで摂取することはできません。ケラチンを体内で合成するために必要なアミノ酸、シスチンを中心に食事にとりいれ、バランスの良い食生活を心がけることが重要です。
ケラチンを補うためには、ヘアトリートメントで物理的に髪の毛に吸着させる方法が現実的です。そのためにはケラチン配合のヘアケア製品を使ってホームケアをしましょう。
9,800円(税込)〜
5,800円 (税込)