石鹸シャンプーで髪を洗うときしむのはどうしてでしょうか?
それは石鹸という成分と髪の毛の特性によって引き起こされるものです。
石鹸という洗浄成分自体が髪に悪いというわけではなく、性質上きしむような指通りになります。
今回は石鹸シャンプーとはどのようなもので、なぜ髪がきしむのか解説します。
- 毛髪診断士
- 遠藤 颯
- 毛髪診断士。Webメディアにおいて6年間記事監修を務める。
10点以上のヘアケア&美容アイテムのプロデュース経験も。
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石鹸シャンプーはアルカリ性
一般的なシャンプーは弱酸性であるのに対し、石鹸の成分で作られたシャンプーはアルカリ性です。
簡単に説明すると、酢やレモン果汁のように、すっぱい味のするものは酸性。苦い味のするものはアルカリ性です。
その中間にあるものは中性といいます。
人の肌や髪は弱酸性、一方石鹸は弱アルカリ性です。
酸性・アルカリ性の強さを表す指標「pH」
酸性・アルカリ性には、弱いとか強いとかいう度合い(強さ)があります。
この酸・アルカリの度合い(強さ)を表すのに、pH(ピーエッチ)と呼ばれる数値を使います。「ペーハー」という読み方もします。
pHは酸性からアルカリ性の間に0~14の目盛りをつけて、酸・アルカリの度合いをその目盛りの数字で表すものです。
pH7を中性とし、それ未満を酸性、それより大きければアルカリ性としています。
アルカリ性の石鹸シャンプーで髪がきしむ理由
健康な髪の毛は弱酸性で、表面にあるキューティクルという組織が閉じて艶やかな状態を維持しています。
一方でアルカリ性の環境下では、キューティクルが開いたり、毛髪自体が膨張したりします。
石鹸シャンプーはアルカリ性であるため、洗い終わった髪はキューティクルが毛羽立ち、髪の毛が太くなった感じになります。
これが指を通すとひっかかりを感じる、いわゆるきしむ状態です。
このような理由から、石鹸シャンプーの後は髪の毛を弱酸性に戻すためにリンスやコンディショナーを使い、キューティクルを整える必要があります。
リンスというのは英語で「すすぐ」という意味があり、石鹸シャンプーが主流だった昔、髪の中和のために発売されたのがきっかけです。
髪の毛が安定するのは弱酸性の領域
髪の毛の表面にあるウロコ状の組織であるキューティクルは、弱酸性(ph5.5前後)だとしっかり閉じて髪内部を守りつつ、髪に艶も出してくれます。
この状態は「髪の等電点」といわれ、髪の毛にとって良い環境下です。
たとえば、パーマやヘアカラーなどの施術ではアルカリ性の薬剤を使って毛髪を膨張したり、キューティクルが浮き上がったりしますから「髪の毛きしきしする」と感じたことがある人は多いのではないでしょうか?
美容室ではパーマやカラー後は酸性度の高いアルカリ除去シャンプーを使って中和することもあります。
それほど、pHは髪の毛に与える影響が大きいのです。
石鹸シャンプーを使ったあとに髪のきしみを改善する方法
石鹸シャンプーを使った後に、髪の毛のきしみを解消する方法を解説します。
どれもおうちで簡単にできることなので、ぜひやってみてくださいね。
リンスやコンディショナーを使う
石鹸シャンプーを洗い流した後は、弱酸性に導くリンスやコンディショナー、トリートメントを使って中和してあげましょう。
髪が弱酸性に戻れば、キューティクルが閉まり、髪のきしみを抑えることができます。
それぞれのヘアケアアイテムに含まれるエモリエント成分が、髪をサラサラの状態に導いてくれます。
※エモリエント成分=髪の指通りをよくする成分のこと
アウトバストリートメントを使う
アウトバストリートメントを使うのも効果的な方法です。
アウトバストリートメントとは、洗い流さないトリートメントのことです。
たとえば、リンスやトリートメントをしても髪のきしみが解決しない場合、ヘアダメージの蓄積が考えられます。
洗い流さないトリートメントにには傷んだ髪を保湿・毛髪補修する成分を含むものも多いため、アルカリ性の石鹸シャンプーでキューティクルが開いてしまった髪の内部に浸透し、うるおいを与えて補修してくれます。
ヘアオイルは使い方も簡単です。
アウトバストリートメントの使い方
- 入浴後にタオルを使って髪から水分を拭き取る
- 目の荒いコームで髪を整える
- 適量の洗い流さないトリートメントを手にとって毛先から髪に馴染ませる
- コームで髪の毛全体に馴染ませる
- 根本から順にドライヤーで乾かす
それだけで髪はさらりとしてまとまりの良い状態に。翌朝のヘアセットにかかる時間も短縮できます。
石鹸シャンプー後にはぜひアウトバストリートメントを使ってみてくださいね。
5,800円(税込)〜
きしみやすい石鹸シャンプー、正しい洗い方で摩擦を軽減しよう
石鹸シャンプーをお使いの方へ、正しい方法でシャンプーは出来ていますか?
キューティクルが浮きやすい石鹸シャンプーは、力を入れて洗うと摩擦によって毛髪がダメージを受けてしまいます。
そこで、正しい石鹸シャンプーの方法をご紹介します。
ブラッシングと予洗いで髪の汚れを落とす
まずはブラッシングで髪についたホコリを落としましょう。ブラッシングをしておくことで石鹸シャンプーを使ったときの泡立ちも良くなります。
次にぬるま湯を使って髪についた汚れ、スタイリング剤を洗い流しておきます。しっかりと予洗いをしておくことで髪の汚れの7割から8割は落とせます。
通常のシャンプーでも同じで、ブラッシングと予洗いは正しいシャンプー方法の基本です。
石鹸シャンプーを手に取り、指の腹を使って髪を丁寧に洗う
予洗いが終わったらいよいよシャンプーをしていきましょう。
液体のものは適量の石鹸シャンプーを手に取り、固形のものは手で泡立てましょう。
髪に馴染ませながら指の腹をつかって優しく洗います。
泡立ちにくいからといって、むやみに石鹸シャンプーの量を増やし過ぎたり、力まかせ髪を擦るように洗うと髪の毛が傷む原因になるのでNGです。
洗いはじめに泡立ちが悪い場合は、髪に馴染ませる前に、手で泡立てネットなどで泡をつくってから髪に使うようにしてくださいね。
洗い残しのないようしっかりすすぐ
シャンプーが終わったら、洗い残しがないようしっかりとすすいでください。
頭皮に石鹸カスが残ってしまうと、フケやかゆみの原因になります。
襟足などのシャンプーが残りやすい部分は時間をかけてすすぐようにしましょう。
リンスやコンディショナー、トリートメントを使う
しっかりと石鹸シャンプーを洗い流したら、リンスやコンディショナー、トリートメントを髪に馴染ませましょう。
ヘアダメージが大きい人はダメージヘア用のトリートメントを使うのも効果的。
すすぐときはシャンプーと同じく、髪や頭皮に残らないようにしっかりと洗い流してくださいね。
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お風呂から出たらドライヤーでブロー
入浴後はタオルで髪の毛から水気を取ってドライヤーで乾かします。
自然乾燥は髪が傷む原因になるため、必ずドライヤーで乾かしてくださいね。
髪を乾かす時は、熱や摩擦ダメージから髪を守るヘアオイルを使うのもおすすめですよ。
5,800円(税込)〜
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石鹸シャンプーで髪がきしむ?対策方法まとめ
石鹸シャンプーの原料である「石鹸」はアルカリ性です。
アルカリ性の環境下では毛髪表面のキューティクルの浮き上がり、毛髪自体の膨張が発生します。
これが「石鹸シャンプーを使うと髪がきしむ」と感じる理由です。
対策方法は以下のとおりです。
- 石鹸シャンプーを使ったらリンス、コンディショナー、トリートメントで中和する
- アウトバストリートメントを活用する
- ヘアダメージを軽減する優しい洗い方をする
ぜひ参考にしてみてくださいね。